骨盤の話


骨盤は、開いていると太りやすく、閉じていると痩せやすいという傾向があるために、雑誌などでは「閉じる」方法が多く紹介されています。

しかし、そのような一方向の調整には、すこし問題があります。
産後にしても当面「閉じ」を意識しますが、その先は違った見方が必要です。

 骨盤は弾力性が大切

呼吸をすると胸が膨らんだり縮んだりしますね。
空気が出入りするから当然そうなるわけですが、そのときは胸ばかりではなく、全身が伸びたり縮んだり膨らんだりなど、呼吸につられた動きをしています。

しかし、体の中で何らかの原因でこわばった場所は、呼吸運動につられた動きがあまり顕著でなくなります。

骨盤で言えば、閉じてこわばった状態はむしろ悪い状態です。
閉じたり、開いたり、伸びたり縮んだり、柔軟であること。
それは、柔軟体操で関節が柔らかいのとはすこし別な話です。

弾力性と言いますが、呼吸のような身体リズムに協調する幅があることが重要なポイントなのです。


 身体リズムとは

身体リズムとは、呼吸ばかりではありません。
例えば一日の睡眠と覚醒における身体リズムがあります。

骨盤に限定して言えば睡眠中は開き、活動中は閉じます。
深く眠り、元気に活動するには、この開閉の差が大きいことが大切です。
一日の身体リズムは自律神経のリズムそのものです。
活動に適した交感神経優位では骨盤は閉じて、休息にてきした副交感神経優位で開くというわけです。 

 女性の生理周期というリズム

骨盤は生理時に最も開き、排卵時に最も閉じます。
月経前緊張症や生理痛は、骨盤の開きが悪い場合(側)に起こるといわれます。
また生理中の眠さは、骨盤が開いているためにおこるわけです。
いずれにしても開くも閉じるも双方向の動きがとても大切です。

骨盤の理想的状態とは、関節として十分に引き締まった状態でありながら、身体リズムにそって、弾力ある開閉を繰り返すことができることなのです。

 骨盤を硬直させ開閉のリズムをブロックする要因は


 ストレス

骨盤の弾力性を悪くする原因は、まずストレスです。
ストレスによって起こった体の反応は、体のどこかが緊張し、こわばった感じです。
それは呼吸に連動する身体リズムにブレーキをかけます。
例えば緊張しているときには、無意識に肩に力が入っていて、呼吸につられた動きがあまり出ていないということがあるでしょう。
そういう日常がつづくと、骨盤のみならず全身の弾力性が失われ、身体リズムは不鮮明な感じになるのです。

 過労と偏った疲労


疲労は身体にこわばりをつくります。
ところで、現代における疲労とは全身疲労ではなく部分疲労であることが多いのです。
これは、仕事の分業化で一日中同じ作業を反復しているなどで、体の特定の部分しか使わない傾向があるからです。
この部分的な疲労は、全身疲労よりも疲れが抜けにくい特徴があります。
全身疲労なら、全身一様ですから例えば深く眠れば回復します。
しかし、部分疲労では、入浴や睡眠など一律の休息では疲れすぎた部分の回復が間に合わない。疲労の格差を処理しなければ抜けにくい。日常的に解消の工夫をしないと疲労が累積する傾向があるのです。
なお、骨盤に影響のある疲労原因は、1日中座る仕事、または立ち通しであまり歩かない仕事、目を酷使する仕事などです。案外女性の職種に多いのが気がかりです。


 冷え

足を冷やすことは骨盤の弾力にとってよくありません。短いスカートで素足などがいまだ流行していますが、下肢が冷えると足腰がこわばります。


 過食

過食は消化器系や肝臓の負担がおおきく、その内臓疲労の反射として、体の特定の部分がこわばる関連があります。

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